語りと長唄で織りなす花魁の世界

もうすっかりお馴染みになってきました、稀音家千鶴師匠の

ライヴ公演に、いつもお世話になっているカラボレーションの

鳥沢久美子先生にお誘いをいただきまして、観て参りました。



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千鶴師匠は、プライベートではとっても可愛い方なのですが、

着物をきて三味線を手にすると、近寄りがたいオーラを放って

パワー全開でアンサンブルを指揮するコンサートマスターでも

あります。



これまでは、ライヴハウスで演奏会を開いたり、ジャズバンドと

共演したり、ディナーショウのようなライヴを企画されたり、

どちらかといえば革命的なイベントが多かったのですけれども、

昨年あたりからか、外形的な特徴よりも師匠が本当に発したいと

思っている「素晴らしい日本の伝統芸能を、もっと日常で

身近なものにしたい」という志に、共感する方の力が加わって、

カジュアルな形は維持しつつも、より純粋に「和」の雰囲気を

伝えることができるようになってきたようです。



今回は、企画主催をすべてお一人でなされ、長年の夢として

温めてきたという吉原の長唄を花魁の踊りつきでご披露される

という、観ているだけのこちらも夢のような内容です。



会場は目黒雅叙園の鷲の間で、玄関からして螺鈿の鶴に誘われ、

徳川家の大名行列を表す天井画に気持ちが浄化されて、すでに

まるで吉原の大門を潜ったような感覚に襲われます。



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千鶴師匠のライヴというのは、本来、先の伝統芸能をもっと

カジュアルにというお考えから出てくる演奏会を指す言葉なの

ですけれども、今回のライヴとは芸を極めた最高の演芸に触れ

るという意味と、仕事帰りに山手線を降りたらそこは江戸時代

の遊郭だったという、200年ほどタイムスリップした感覚を

味わう見事なライヴ感という意味と、開演前に開かれたカク

テルパーティのライヴ感と、眼も耳もお腹もいっぱいになって

眼が回るほどの、天に昇る気持ちとなりました。



その素晴らしさを、企画した千鶴師匠の言葉をお借りしてご説明

しましょう。



「華麗なる調べ Part3 語りと長唄で織りなす花魁の世界



目黒雅叙園の豪華絢爛な伝統美術に彩られた空間で東宝ベテ

ラン俳優 安宅 忍氏による語り、日本舞踊、長唄・三味線、

大小鼓、太鼓、笛による新作ライブ!三味線の音にのせて

美しい花魁が登場します。」



2時間の公演で4曲しか演奏されないといえば、その言葉の

真実と充実ぶりがご想像いただけるでしょう。



第2部では花柳迪薫さんの花魁が登場し、安宅さんが語った

骨抜きを経験することになりました。



お恥ずかしながら、これまで見聞きしてきた花魁とは多くの

べっ甲櫛を挿し、派手な着物を着る「演出された人」だと

思ってきたのですが、今回は生まれてはじめて「いま生きて

いる人」だと感じ、その艶やかさに見ているだけで本当に

骨抜きにされちまう感覚を味わうことになるのです。



三味線や太鼓や笛の音に乗って独りで歩く花魁を眺めている

と、独りで歩いては可哀相だと情が移る感覚を覚えるのは

夢か幻かそれとも娑婆かと、顔を捻らずにはいられません

でした。



それほど今回のライヴは、企画も場所も演奏も舞踊も、

素晴らしくレベルが高く、今生の幸せを体現した内容と言って

よいのではないかと思います。周囲にいた女性のお客様が

みな幸せと口にされていたことが、なにより物語っている

と思います。



「桜も咲き始める早春の一夜、しばし江戸時代にタイムスリップ

してお大尽気分を満喫してはいかがですか。」



夢が覚めて、帰り口で見送りに出てこられた千鶴師匠に

接して感じたのは、回を追うごとにどんどん充実していく

企画演奏と、少しずつ想いが通じて協力者が集まってくる

人の縁の温かさと素晴らしさです。



聞くところによると、企画発表の時点でソールドアウトだった

そうですから、これは劇団四季のようにロングラン公演をして

いただかなくてはいけないでしょう。



きっと会場側からも期待されると思います。

もちろん私たちも。



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感謝!